ダンボール設計講座 第7回 ~A式形状の溝がなぜ7mmなのか(前編)~
ダンボール設計講座 第6回 ~内寸から寸法を求める(A式箱形状編)~
からの続きです。
今回は「段ボールA式およびC式の溝巾がなぜ7mmなのか?」です
これは
①箱組みするときW/Fだとなんか箱組キツい気がする
②なんかダンボールの厚みによって、箱にしたとき角に出来る小さな穴の大きさがなんか段種によって違う
③箱の長さ面のフラップの長さが第1面と4面の長さが合わない
という普段何気に感じる疑問の答えの一部でもあります。
普段気にすることのないA式の上下フラップには7mmの溝を切っています。
ときたま8mmがありますが、ほぼ全国の段ボール工場の印刷機についている刃物は7mm巾です。 そのため、量産されるA式箱のほとんどがこの溝巾になっています。
(木型抜きのA式除く)
▲ 目次にもどる
段ボール箱は段ボール箱専用印刷機に通して製造します。
極小ロットの場合は、サンプルカット機か断裁機→パンチャーと呼ばれる溝切り機械に通して製造します。
このパンチャーについている刃物の巾もこれまた7mmです。
印刷機に付ける溝切り刃物(オス刃)
上の印刷機用の刃物を、下図の機械にセットして回転しながらオス刃 メス刃でカットします。これが全部で8輪あります。
こちらはパンチャーと呼ばれる溝を切るだけの機械です。 刃物の巾は7mm
刃物が上下に動き、その間に段ボールを挟んで溝を切ります。
▲ 目次にもどる
*溝が必要な理由は
①箱を組み立てた時、内フラップを中に入れやすくする為
*溝が7mmの理由は
② 本来なら段種ごとに刃物の巾を変えると綺麗に収まるのですが、先ほどの印刷機にセットする刃物を段種ごとに交換しようとすると、刃物セット替え8輪オスメス交換・ギャップ合わせで一回あたりセット約4時間かかりこれを1日に複数回行うことは非現実的であるためです。
そこでB段の必要刃物巾4mmとW段の必要刃物巾10mmの間をとって7mmを常時セットしています。 段種ごとに印刷機の刃物の巾をセット変えしている会社は上記の理由から無いと思います。
~①から説明します~
7mmの溝を切ったA式とカット線だけのA式を B段(3mm厚)とW段(8mm)で比べてみます。
まずはB段図面と実際のカット
糊付けして溝を比較します
フラップの切り込み部分を拡大します
それぞれの内フラップを折り込みます
溝7mm巾有り
巾面119mmでB段ですので、内径は115mm フラップは119mm-7mmで112mmです
溝無し
こちらは、カット線のみ入れておりますので巾面の119mmに対してフラップの巾も119mmになります。
▲ 目次にもどる
今回作成したA式の巾面罫線寸法は119mmです
B段(3mm厚)の内径は4mm引きますので115mm
タテ方向の折れ線は7mm巾のセンターに入りますので、フラップの長さは罫線からそれぞれ3.5mmずつ短くなります
通常のA式のフラップ長さは、それぞれの「長さ面」「巾面」の罫線寸法に対してそれぞれ7mm短いです。
ところが、カット線のみ入れたフラップは罫線と同じ119mm巾のフラップになることに注意して見てください。
次にW/F(7mm厚)を見ていきます
罫線寸法は先ほど作成したB/Fと同じです。
同じ罫線寸法でフラップ長さが同じでも内径が変わることに注意して見てみてください。
糊付けして溝を比較します
フラップの切り込み部分を拡大します
それぞれの内フラップを折り込みます
溝7mm巾有り
先ほどのB段と同じ罫線寸法ですが、フラップの巾は112mmに対して内径は109mmになります。 本来あと3mm余分にカットしたいところですが、先ほどの理由から溝の幅が7mm固定な為、W/Fの時は内フラップ入れるときにキツくなります。
溝無し
7mm厚W/Fで作成したA式の巾面罫線寸法は先ほどのB/Fと同じ119mmです
W段(7mm厚)の内径は10mm引きますので109mm
先ほどのB段と今回のW段それぞれ巾面罫線119mm入れました。
それぞれB段 W段フラップの横方向の長さは同じなのに、内径が違うことによるフラップを折り込んだときのキツさの違いに注意して見てみてください。
今回は箱の巾面(ヨコ)の罫線が119mmでした
しかし、段種により内径はそれぞれ
B段 -4mm
A段 -6mm
W段 -10mm
された寸法のものが入ります。
ということは、内フラップ巾寸法もそれぞれ段種ごとに引いてやると良いことが分かります。
B段 -4mm
A段 -6mm
W段 -10mm
それぞれ罫線寸法に対して引いておくと綺麗に内フラップが入りますので、綺麗にA式箱を仕上げるには、段種によりフラップの溝巾変更を本来ならやった方がよいが、ダンボール製造機械の仕様によりいろいろと難しいことが出てきます。これについては、次回に続きます。
木型を作成したときは、溝巾や罫線の段違い寸法等を段種ごとに変更します。
①の理由は以上です
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からの続きです。
今回は「段ボールA式およびC式の溝巾がなぜ7mmなのか?」です
これは
①箱組みするときW/Fだとなんか箱組キツい気がする
②なんかダンボールの厚みによって、箱にしたとき角に出来る小さな穴の大きさがなんか段種によって違う
③箱の長さ面のフラップの長さが第1面と4面の長さが合わない
という普段何気に感じる疑問の答えの一部でもあります。
目次
A式段ボールのフラップ間には溝がある~
普段気にすることのないA式の上下フラップには7mmの溝を切っています。
ときたま8mmがありますが、ほぼ全国の段ボール工場の印刷機についている刃物は7mm巾です。 そのため、量産されるA式箱のほとんどがこの溝巾になっています。
(木型抜きのA式除く)
▲ 目次にもどる
~段ボールに溝を切る刃物について~
段ボール箱は段ボール箱専用印刷機に通して製造します。
極小ロットの場合は、サンプルカット機か断裁機→パンチャーと呼ばれる溝切り機械に通して製造します。
このパンチャーについている刃物の巾もこれまた7mmです。
印刷機に付ける溝切り刃物(オス刃)
上の印刷機用の刃物を、下図の機械にセットして回転しながらオス刃 メス刃でカットします。これが全部で8輪あります。
こちらはパンチャーと呼ばれる溝を切るだけの機械です。 刃物の巾は7mm
刃物が上下に動き、その間に段ボールを挟んで溝を切ります。
▲ 目次にもどる
~溝が必要な理由の解説~
*溝が必要な理由は
①箱を組み立てた時、内フラップを中に入れやすくする為
*溝が7mmの理由は
② 本来なら段種ごとに刃物の巾を変えると綺麗に収まるのですが、先ほどの印刷機にセットする刃物を段種ごとに交換しようとすると、刃物セット替え8輪オスメス交換・ギャップ合わせで一回あたりセット約4時間かかりこれを1日に複数回行うことは非現実的であるためです。
そこでB段の必要刃物巾4mmとW段の必要刃物巾10mmの間をとって7mmを常時セットしています。 段種ごとに印刷機の刃物の巾をセット変えしている会社は上記の理由から無いと思います。
~①から説明します~
7mmの溝を切ったA式とカット線だけのA式を B段(3mm厚)とW段(8mm)で比べてみます。
まずはB段図面と実際のカット
糊付けして溝を比較します
フラップの切り込み部分を拡大します
それぞれの内フラップを折り込みます
溝7mm巾有り
巾面119mmでB段ですので、内径は115mm フラップは119mm-7mmで112mmです
溝無し
こちらは、カット線のみ入れておりますので巾面の119mmに対してフラップの巾も119mmになります。
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フラップの横幅について
今回作成したA式の巾面罫線寸法は119mmです
B段(3mm厚)の内径は4mm引きますので115mm
タテ方向の折れ線は7mm巾のセンターに入りますので、フラップの長さは罫線からそれぞれ3.5mmずつ短くなります
通常のA式のフラップ長さは、それぞれの「長さ面」「巾面」の罫線寸法に対してそれぞれ7mm短いです。
ところが、カット線のみ入れたフラップは罫線と同じ119mm巾のフラップになることに注意して見てください。
次にW/F(7mm厚)を見ていきます
罫線寸法は先ほど作成したB/Fと同じです。
同じ罫線寸法でフラップ長さが同じでも内径が変わることに注意して見てみてください。
糊付けして溝を比較します
フラップの切り込み部分を拡大します
それぞれの内フラップを折り込みます
溝7mm巾有り
先ほどのB段と同じ罫線寸法ですが、フラップの巾は112mmに対して内径は109mmになります。 本来あと3mm余分にカットしたいところですが、先ほどの理由から溝の幅が7mm固定な為、W/Fの時は内フラップ入れるときにキツくなります。
溝無し
7mm厚W/Fで作成したA式の巾面罫線寸法は先ほどのB/Fと同じ119mmです
W段(7mm厚)の内径は10mm引きますので109mm
先ほどのB段と今回のW段それぞれ巾面罫線119mm入れました。
それぞれB段 W段フラップの横方向の長さは同じなのに、内径が違うことによるフラップを折り込んだときのキツさの違いに注意して見てみてください。
今回は箱の巾面(ヨコ)の罫線が119mmでした
しかし、段種により内径はそれぞれ
B段 -4mm
A段 -6mm
W段 -10mm
された寸法のものが入ります。
ということは、内フラップ巾寸法もそれぞれ段種ごとに引いてやると良いことが分かります。
B段 -4mm
A段 -6mm
W段 -10mm
それぞれ罫線寸法に対して引いておくと綺麗に内フラップが入りますので、綺麗にA式箱を仕上げるには、段種によりフラップの溝巾変更を本来ならやった方がよいが、ダンボール製造機械の仕様によりいろいろと難しいことが出てきます。これについては、次回に続きます。
木型を作成したときは、溝巾や罫線の段違い寸法等を段種ごとに変更します。
①の理由は以上です
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