ダンボール設計講座 第6回 ~内寸から寸法を求める(みかん箱形状編)~
前回の ダンボール設計講座 第5回 ~内寸から寸法を求める(スリーブ形状編)~
からの続きです。
今回は一番流通量がある「みかん箱形式(A式・0201形式)」について説明します。
以下A式と呼びます。
寸法に進む前にA式の特性について知りたい方は過去記事「A-1式段ボール箱(ミカン箱) 形式のお話」をご参照ください。
A式の各寸法はJIS規格で下図の様な指示があります。
よく覚え方としてタテ ヨコ タカサ+する数値として
W段 9 9 16
A段 6 6 9
B段 4 4 6
と先輩から教わりますが、なぜこういった数値になっていくのでしょうか?
JIS規格と実際の現場の数値の違いについても説明していきます。
~内寸法に対する段種ごとの分加算値~
以前の講座で、ダンボールの段種ごとに「内側へ膨らむ値」と「外側に膨らむ値」をご紹介しました。
(PDF: 453.13KB)
今回もそれを利用します。
入れるものは以前と同じティシュ箱です
内寸法に対する、罫線寸法の値はそれぞれ
この値は弊社の値なのですが、JIS規格と若干異なります。
又、ダンボール会社によってタカサとフラップ加算値及び第4面の控え寸法は数mm前後しているかと思います。
このティッシュを入れる展開図例としてA段の図面です↓
A段(5mm厚)でつくるには
長さと幅を+6mm
深さを+10mm
上下フラップは(幅/2)+2mm (小数点切り捨て切り上げどちらでもok)
第4面を-2mmします。
JIS規格では上図の通り
W/Fのタカサは内寸に対して +16mm
A/Fのタカサは内寸に対して +9mm
となっておりますが、実際にその加算値で作成すると、フラップが盛り上がるくらいきつい寸法になります。 中身でも上からの加重を受ける形ですね。 意図的にそうする場合は良いのですが
外箱だけで上からの加重を支えようとすると
W/F +25
A/F +15
をタカサに足すとよいです。
↓W/Fで高さ+20mmした箱です
↓W/Fで高さ+16mm(JIS規格)した箱です
▲ 目次にもどる
以前も使用したティッシュ箱を入れるA式箱の寸法を考えていきます。
それぞれ上から見てみます
B/F
A/F
W/F
~A式加算値の考え方~
タテとヨコの考え方
B段でみていきます
「加算表のコノ字部分」と「段ボール箱の上から見た下半分のコノ字部分」が同じですね
ヨコ方向も同じ考え方ですので、それぞれ内寸法に対して+4mmするとジャストサイズになります。
ここに指をいれて取りたい場合は+10~15mmほど余分に足します。
タカサの考え方
↓箱を半分に切ったタカサ部分の断面写真です
上下の外フラップに押されて内フラップが内側に押し込まれてます
すべてのフラップの長さは、ヨコ面長さの半分です。
JIS規格では6mm足すことになってます
ところがよく写真を見ていただきたいのですが
上下の内フラップだけでもそれぞれ3mmあり、上下で6mmの厚みです。
それに加えて上下の外フラップが内側に各2mmずつ膨らみますので合計4mm
それらを足すと10mmとなります。
計算上はB/Fでタカサ+10mmとなりますが、JISでは+6mm 弊社では+8mmしています。
減らしている理由ですが
①印刷機に通すときに段ボールがロールに挟まれてつぶれるということ
②段ボールは紙ですので、中身を入れてテープ止めしたときにつぶれること
③内フラップがかかっていない中央部分に寸法の余裕が出すぎてしまうため。
を考慮して弊社では+8mmにしています。
高さを内寸に対して何mm足すかは段ボール会社によって考え方が様々ありますが、基本的な考え方は上記のとおりですので、ここは押さえておきましょう。
▲ 目次にもどる
A式のフラップの長さは「ヨコ」の半分の長さになりますが、A式を作成する場合は数mm伸ばします。
↓ JISの加算値図
これはなぜかといいますと
A式の横方向に入っている罫線は、段ボールシートの製造過程上すべて同一線上に入っています。
同じ高さの罫線上で2枚のフラップを重ね合わせると、それぞれの膨らみによって外フラップが外側に引っ張られます。 そこでその分を伸ばすようにしてあります。
また段の厚みが厚くなるほど伸ばす長さが伸びます。
A式を展開して裏から見たところ
A式の段目に対して直角方向に入っている罫線を「スコア罫線」といいます。
一直線上に入ります。
フラップを伸ばさない例外
木型を作成しトムソン抜き加工する場合は巾面の罫線の位置をズラします。
これを行うと、フラップの長さはヨコの長さの半分ジャストにします。(ズラすことにより膨らみを逃げれる為)
こういった木型打ち抜きの場合は、こうして罫線をズラすことにより箱にした時の仕上がりが綺麗になります。
弊社では段種ごとのズラし数値は
W/F 各4mm
A/F 各3mm
B/F 各2mm
第2面 4面のスコア罫線部分を内側へズラしています。(トムソン抜きの時のみ)
あと一つ
フラップの溝がなぜ7mmの隙間があるのか?
ですが長くなりましたので次回 A式の溝についてに続きます!
▲ 目次にもどる
からの続きです。
今回は一番流通量がある「みかん箱形式(A式・0201形式)」について説明します。
以下A式と呼びます。
寸法に進む前にA式の特性について知りたい方は過去記事「A-1式段ボール箱(ミカン箱) 形式のお話」をご参照ください。
目次
A式形状のJIS規格分加算値について~
A式の各寸法はJIS規格で下図の様な指示があります。
よく覚え方としてタテ ヨコ タカサ+する数値として
W段 9 9 16
A段 6 6 9
B段 4 4 6
と先輩から教わりますが、なぜこういった数値になっていくのでしょうか?
JIS規格と実際の現場の数値の違いについても説明していきます。
~内寸法に対する段種ごとの分加算値~
以前の講座で、ダンボールの段種ごとに「内側へ膨らむ値」と「外側に膨らむ値」をご紹介しました。
(PDF: 453.13KB)
今回もそれを利用します。
入れるものは以前と同じティシュ箱です
内寸法に対する、罫線寸法の値はそれぞれ
段種 | タテ | ヨコ | タカサ | 第4面の減算値 | 上下フラップの加算値 |
---|---|---|---|---|---|
W/F | 10mm | 10mm | 20mm | -3mm | +3mm |
A/F | 6mm | 6mm | 10mm | -2mm | +2mm |
B/F | 4mm | 4mm | 8mm | -1mm | +1mm |
E/F | 2mm | 2mm | 5mm | 0mm | 0mm |
この値は弊社の値なのですが、JIS規格と若干異なります。
又、ダンボール会社によってタカサとフラップ加算値及び第4面の控え寸法は数mm前後しているかと思います。
このティッシュを入れる展開図例としてA段の図面です↓
A段(5mm厚)でつくるには
長さと幅を+6mm
深さを+10mm
上下フラップは(幅/2)+2mm (小数点切り捨て切り上げどちらでもok)
第4面を-2mmします。
JIS規格では上図の通り
W/Fのタカサは内寸に対して +16mm
A/Fのタカサは内寸に対して +9mm
となっておりますが、実際にその加算値で作成すると、フラップが盛り上がるくらいきつい寸法になります。 中身でも上からの加重を受ける形ですね。 意図的にそうする場合は良いのですが
外箱だけで上からの加重を支えようとすると
W/F +25
A/F +15
をタカサに足すとよいです。
↓W/Fで高さ+20mmした箱です
↓W/Fで高さ+16mm(JIS規格)した箱です
▲ 目次にもどる
~ティッシュ箱が入るA式をつくってみる編~
以前も使用したティッシュ箱を入れるA式箱の寸法を考えていきます。
それぞれ上から見てみます
B/F
A/F
W/F
~A式加算値の考え方~
タテとヨコの考え方
B段でみていきます
「加算表のコノ字部分」と「段ボール箱の上から見た下半分のコノ字部分」が同じですね
ヨコ方向も同じ考え方ですので、それぞれ内寸法に対して+4mmするとジャストサイズになります。
ここに指をいれて取りたい場合は+10~15mmほど余分に足します。
タカサの考え方
↓箱を半分に切ったタカサ部分の断面写真です
上下の外フラップに押されて内フラップが内側に押し込まれてます
すべてのフラップの長さは、ヨコ面長さの半分です。
JIS規格では6mm足すことになってます
ところがよく写真を見ていただきたいのですが
上下の内フラップだけでもそれぞれ3mmあり、上下で6mmの厚みです。
それに加えて上下の外フラップが内側に各2mmずつ膨らみますので合計4mm
それらを足すと10mmとなります。
計算上はB/Fでタカサ+10mmとなりますが、JISでは+6mm 弊社では+8mmしています。
減らしている理由ですが
①印刷機に通すときに段ボールがロールに挟まれてつぶれるということ
②段ボールは紙ですので、中身を入れてテープ止めしたときにつぶれること
③内フラップがかかっていない中央部分に寸法の余裕が出すぎてしまうため。
を考慮して弊社では+8mmにしています。
高さを内寸に対して何mm足すかは段ボール会社によって考え方が様々ありますが、基本的な考え方は上記のとおりですので、ここは押さえておきましょう。
▲ 目次にもどる
~フラップの長さ調整はなぜするのか?~
A式のフラップの長さは「ヨコ」の半分の長さになりますが、A式を作成する場合は数mm伸ばします。
↓ JISの加算値図
これはなぜかといいますと
A式の横方向に入っている罫線は、段ボールシートの製造過程上すべて同一線上に入っています。
同じ高さの罫線上で2枚のフラップを重ね合わせると、それぞれの膨らみによって外フラップが外側に引っ張られます。 そこでその分を伸ばすようにしてあります。
また段の厚みが厚くなるほど伸ばす長さが伸びます。
A式を展開して裏から見たところ
A式の段目に対して直角方向に入っている罫線を「スコア罫線」といいます。
一直線上に入ります。
フラップを伸ばさない例外
木型を作成しトムソン抜き加工する場合は巾面の罫線の位置をズラします。
これを行うと、フラップの長さはヨコの長さの半分ジャストにします。(ズラすことにより膨らみを逃げれる為)
こういった木型打ち抜きの場合は、こうして罫線をズラすことにより箱にした時の仕上がりが綺麗になります。
弊社では段種ごとのズラし数値は
W/F 各4mm
A/F 各3mm
B/F 各2mm
第2面 4面のスコア罫線部分を内側へズラしています。(トムソン抜きの時のみ)
あと一つ
フラップの溝がなぜ7mmの隙間があるのか?
ですが長くなりましたので次回 A式の溝についてに続きます!
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