ダンボール設計講座 第8回 ~A式形状の溝がなぜ7mmなのか(後編)~
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前回ダンボール設計講座 第7回 ~A式形状の溝がなぜ7mmなのか(前編)~
からの続きです。
↓どうしてこのように溝があるのでしょうか

② 本来なら段種ごとに刃物の巾を変えると綺麗に収まるのですが、先ほどの印刷機にセットする刃物を段種ごとに交換しようとすると、刃物セット替え8輪オスメス交換・ギャップ合わせで一回あたりセット替えに数時間かかりこれを1日に複数回行うことは非現実的であるためです。
そこでB段の必要刃物巾4mmとW段の必要刃物巾10mmの間をとって7mmを常時セットしています。 段種ごとに印刷機の刃物の巾をセット変えしている会社は上記の理由から無いかと思われます。
A式はコスト重視の箱になりますので、こういった方法をとっております。
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A式に使われる段種は主に
W/F(7mm厚)
A/F(5mm厚)
B/F(3mm厚)
が多いです。 最近C段というA/FとB/Fの間のものが出てきましたが、現在製造メーカーが限られることと必要製造ロットが大きいため、特大ロットのナショナルユーザーでしか見たことがありませんので、ここでは割愛させていただきます。
あとデルタフルートというB/F(3mm厚)とE/F(1.5mm厚)の中間2mmのものがレンゴーさんから出てますがこちらも同じ理由であまり流通しておりません。
C段で有名なのは「亀田製菓さん」のダンボールでかなり使用されておりますので、ご興味のある方はスーパーのダンボール置き場に行ったらあるかもしれません。
ダンボールシートを製造している会社は2018年時点で全国に192社(コルゲーターは372台)ありますが、C段とデルタフルートを製造できる会社は非常に限られております。 デルタフルートは現在レンゴーさんで製造しております。
C段とデルタフルートの製造が難しい理由があるのですが、とても長くなるので後日アップします。
ということで現在主流の
W/F(7mm厚)
A/F(5mm厚)
B/F(3mm厚)
の3点で説明していきます。
以前にもアップした、段種と内径の一覧から3点抜粋
W/F ↓

A/F ↓

B/F ↓

それぞれ罫線寸法に対しての内径は
W/F -10mm
A/F -6mm
B/F -4mm
です。
ということは、A式の内フラップの横幅はこの内径内に入る寸法にする必要があります。
ではA式のフラップ周辺はどのようになっているかと言いますと

折れ曲げ線を中心にそれぞれ左に3.5mm 右に3.5mm 合計7mmの溝を作ります。
これは段種関係なく7mmの溝を作ります。 巾面の罫線寸法-7mmです。
段種ごとの内径とフラップの横幅ですが
罫線寸法とフラップの横幅は全ての段種で同じですが、内径が違うことに注目してください。
W/Fは内径に対してフラップの巾が大きく、B/Fは内径に対してフラップが小さいことが分かります。
A式を印刷機で刃物固定で製造することはメリットもありまして、大きなものとして2点
*木型がいらない
*製造スピードが速いのでコストが下がる
ということがあります
通常A式は刃物と罫線軸が1mm単位で移動するので、後からの寸法変更も容易に出来ます。
木型を作成後、寸法変更する際は、1mmであっても木型の作り直しを行う必要があります。
A式を木型で打ち抜くことは希ですが、以下の場合に木型作成する必要があります。
*寸法が小さすぎて自社の印刷機に入らない
*目方向が逆目のA式
*フラップの形状がノンステープルの場合
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次回はA式フラップの長さが合わない事と、角に出来る穴の原因についてです。
おたのしみに!
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前回ダンボール設計講座 第7回 ~A式形状の溝がなぜ7mmなのか(前編)~
からの続きです。
↓どうしてこのように溝があるのでしょうか
目次
A式段ボールの溝が7mmの理由
② 本来なら段種ごとに刃物の巾を変えると綺麗に収まるのですが、先ほどの印刷機にセットする刃物を段種ごとに交換しようとすると、刃物セット替え8輪オスメス交換・ギャップ合わせで一回あたりセット替えに数時間かかりこれを1日に複数回行うことは非現実的であるためです。
そこでB段の必要刃物巾4mmとW段の必要刃物巾10mmの間をとって7mmを常時セットしています。 段種ごとに印刷機の刃物の巾をセット変えしている会社は上記の理由から無いかと思われます。
A式はコスト重視の箱になりますので、こういった方法をとっております。
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段種ごとの必要刃物巾の説明
A式に使われる段種は主に
W/F(7mm厚)
A/F(5mm厚)
B/F(3mm厚)
が多いです。 最近C段というA/FとB/Fの間のものが出てきましたが、現在製造メーカーが限られることと必要製造ロットが大きいため、特大ロットのナショナルユーザーでしか見たことがありませんので、ここでは割愛させていただきます。
あとデルタフルートというB/F(3mm厚)とE/F(1.5mm厚)の中間2mmのものがレンゴーさんから出てますがこちらも同じ理由であまり流通しておりません。
C段で有名なのは「亀田製菓さん」のダンボールでかなり使用されておりますので、ご興味のある方はスーパーのダンボール置き場に行ったらあるかもしれません。
ダンボールシートを製造している会社は2018年時点で全国に192社(コルゲーターは372台)ありますが、C段とデルタフルートを製造できる会社は非常に限られております。 デルタフルートは現在レンゴーさんで製造しております。
C段とデルタフルートの製造が難しい理由があるのですが、とても長くなるので後日アップします。
ということで現在主流の
W/F(7mm厚)
A/F(5mm厚)
B/F(3mm厚)
の3点で説明していきます。
以前にもアップした、段種と内径の一覧から3点抜粋
W/F ↓
A/F ↓
B/F ↓
それぞれ罫線寸法に対しての内径は
W/F -10mm
A/F -6mm
B/F -4mm
です。
ということは、A式の内フラップの横幅はこの内径内に入る寸法にする必要があります。
ではA式のフラップ周辺はどのようになっているかと言いますと
折れ曲げ線を中心にそれぞれ左に3.5mm 右に3.5mm 合計7mmの溝を作ります。
これは段種関係なく7mmの溝を作ります。 巾面の罫線寸法-7mmです。
段種ごとの内径とフラップの横幅ですが
段種 | 罫線寸法 | 内径 | フラップの横幅 |
W/F | 100 | 90 | 93 |
---|---|---|---|
A/F | 100 | 94 | 93 |
B/F | 100 | 96 | 93 |
罫線寸法とフラップの横幅は全ての段種で同じですが、内径が違うことに注目してください。
W/Fは内径に対してフラップの巾が大きく、B/Fは内径に対してフラップが小さいことが分かります。
A式を印刷機で刃物固定で製造することはメリットもありまして、大きなものとして2点
*木型がいらない
*製造スピードが速いのでコストが下がる
ということがあります
通常A式は刃物と罫線軸が1mm単位で移動するので、後からの寸法変更も容易に出来ます。
木型を作成後、寸法変更する際は、1mmであっても木型の作り直しを行う必要があります。
A式を木型で打ち抜くことは希ですが、以下の場合に木型作成する必要があります。
*寸法が小さすぎて自社の印刷機に入らない
*目方向が逆目のA式
*フラップの形状がノンステープルの場合
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まとめ
本来なら段種ごとにA式の溝巾を変えた方が箱を組みやすくなるが、溝7mm巾で共通巾にしているので段種ごとに内フラップの入れやすさが違う。それは価格を抑えて提供できる事と後からの寸法変更も容易に行えるから。

次回はA式フラップの長さが合わない事と、角に出来る穴の原因についてです。
おたのしみに!
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