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段ボールシートの名称(呼び方・重量・規格)についての豆知識



目次







段ボールの構造と名称について


段ボールの素材名称

~ダンボールの定義~
ダンボールは種類により「シングルの3層構造」「ダブルの5層構造」などありますが「段ボール原紙」を使用したものをいいます。
食品対応紙などの「紙(ダンボール原紙でないもの)」を3層構造にしたものは厳密にはダンボールではないのですが、ダンボール原紙かそうでないかの見分けが付きづらいので一般的にダンボールと呼んでいます。

ダンボール原紙で代表できなものはC5やK5などクラフト色したものと、白ライナーと呼ばれる白色したものがあります。
白ライナーといっても紙の表側が白いだけで裏側は古紙を含む茶色になってます。

同じ白色でも下記の写真は 各紙が紙でできており分類上は「紙」になります
紙で出来てるダンボール
紙で出来たダンボールをめくったところ(裏も白いです)
↑これは、表ライナと中芯に「食品対応紙」、裏ライナに「耐油紙」を張り合わせたG段(0.8mm)です。
すべて紙で構成されているので分類上は「紙」扱いになりますが、見た目は3層構造のダンボールになります。
ダンボール原紙はほぼ古紙で作られており一般的なものは茶色で分かりやすいです。

分かりづらいのが白ライナーとよばれるものです。 
ダンボール原紙で作った白ライナー:紙をめくると裏は茶色。
紙で出来た白ライナー:裏も同じ白
段ボール原紙使ってるか紙を使っているかは、裏をめくると分かりやすいです。

あくまで分類上の話になりますので、一般的にはどちらも「ダンボール」と呼ばれてますし、呼び方に関してはどちらでも特に問題はないかと思います。


~ダンボールの構造~
ダンボールは表裏のまっすぐな紙のダンボール原紙(表・裏ライナ)と間に挟んである中芯原紙(中芯)の組み合わせで出来ています。
そのほぼ99%以上がダンボール古紙で出来ており、Kライナー以上で僅かにバージンパルプが含まれ、Cライナーは100%古紙で出来ております。
そのために、ダンボール価格は古紙市況に大きく左右されます。

それぞれの呼称は表面から順番に
表ライナー(KもしくわC)
中芯(SCP)
裏ライナー(KもしくわC)
と呼びます。
それぞれの紙の厚みにより規格が分かれるのですが、それにつきましては後述します。

ダンボールの見積書の材質欄に
B/F k6x160gxk6 等の記載がある場合
B/F(段種)
k6x160gxk6→表ライナx中芯x裏ライナ の材質を順番に記載します。
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段ボールシートの表面と裏面の見分け方



ダンボールシート 表面


ダンボールシート 裏面

で分かります。
この縦シマはダンボールシートを製造する過程で中のなみなみの頂点に糊を付けるた際の糊跡です。

シートメーカーのコルゲーター機械仕様により、表裏が判別しにくい場合がありますが、普通に箱を使う場合にはそんなに気にしなくてもよいです。
普段何気なく触っているダンボール箱をよく見てみると、内側にシマシマが見えていて(裏面)、表面は綺麗なはずです。


箱を作る場合は、この裏面から罫線を押し当てますので、裏面側が山折りになります。
ダンボールの折れ曲げ線は裏から入れます。
▲ 目次にもどる





ライナと中芯の材質記載と強度について


全国にあるダンボール屋さんの材質表記は、同じ材質であっても会社により記載方法に違いがあります。
これは、表裏のライナについては大体2種類に分かれます。
「k7等の匁表記」と「k280」のグラム表記です
どちらも同じ規格の材質を表しますが、細かい話をするとk7などの規格では使用グラム数に巾が有るため、厳密には使用重量に違いがあります。
古紙価格の上昇とコストダウン提案等で、薄物化が進んでおりまして、Cライナも170g使用している所と160g使用しているところがあります。 現在では150gというのも出てきているようです。 全部C5です。

 そのためグラム表記は最近になってから増えてきており、k5等の規格表記では使用しているグラム数に巾があるため正確な使用グラム数が分らない為、グラム表記「k280」と記載することにより、このライナは1㎡あたり280g使用しております。と表記する会社もあります。
こちらの表記が出来る会社は自社にコルゲーター(ダンボールシートを作る機械)を所有しているところか、仕入れ先を1社に絞っている会社に限られます。
理由として、ライナーのグラム数はメーカーの品番により異なります。
様々な会社から仕入れていると同じC5でも170gのものであったり160gのものであったりするため、グラム表記が出来ない為です。

自社でダンボールシートを製造している会社は、使用ライナのg数が特定しやすいのでグラム表記にしていることが多いです。

*ライナーの紙規格と最近の使用g数一覧
呼称呼称(グラム表記)1㎡あたりの重量
k7 k270 280g
k6 k210 210g
k5 k170 170g
c5 c160 160g

Kの後の数字(5 6 7)は昔の匁(もんめ)表記の名残です。 1匁=3.75g
5匁=160~170/㎡ 6匁=210g/㎡ 7匁=280g/㎡ です。
Kとは「クラフト」のことで、99%の古紙+表層にバージンパルプを含む材質になり、強度が増します。
Cとは「ジュート」のことで、100%古紙再生紙になります。

あと非常に希ですがA級 B級 C級で表示するところもあります
この情報は確かでは無いのですが
例えば
BF LB210×MA120×LB210
といった表記です

A級
純パルプKライナの事で日本には流通していない古紙を含んでいないKライナの事です。 非常に強度があり、まさしく板の様な紙です。
これを「LA280」と表記するところもあるかもしれません

B級
国内流通しているKライナの事だと思います(←多分・・どなたか知っている方見えましたらコメント欄にお願いします。)

LB180=k5
LB210=k6
LB280=k7
という理解でいいかと思います。

C級
こちらは「C5」という表現にもありますが、国内流通しているジュートライナ(Cライナ)
昔はC6という規格がありましたが、現在有るのはC5です。 ただし同じC5でもメーカーにより使用グラム数が若干ことなります。

LC160=C5(160g)
LC170=C5(170g)

私もこの表記については曖昧で、いろんな先に聞いたのですが皆恐らくこうだろうといった解答でした
それくらいマイナーな表記です。


中芯の紙規格と最近の使用g数一覧
呼称呼称(会社による略称)1㎡あたりの重量
200g強化芯 scp(mm TY)200 200g
180g強化芯 scp(mm TY)180 180g
160gセミ芯 scp(sd)160 160g
115g普通芯 scp(sd)115 115g


*ライナ・中芯どちらも左から順に強度が上がります。 
ライナ強度順:弱いC5<K5<K6<K7強い
中芯強度順:弱い普通芯<160gセミ芯<180g強化芯<200g強化芯強い




原紙メーカーや段ボールメーカーにより、見積書でライナと中芯の表記は様々です。
色々ありすぎて書き切れません

中芯表記例
①普通芯=scp120g=ma120
②200g強化芯=scp200=mm200=TY200

頼りになるのは英数字の後の数値です
ライナーでは
160か170はC5
180はk5
210はk6
280はk7

中芯では
115か120は普通芯
160はセミ芯
180は強化芯もあるし普通180g芯もあります

それぞれ1㎡あたりに使用している紙のg数です。
数値が増えるほどダンボールとしての強度が上がり、価格も同じく上がります。

あと全農(JA)のダンボール箱の底には材質表記がしてありグラム数表記になります
表記例)AK210xAK210
このAKというのもKライナの事なのですが全農指定原紙の事を指します。
Aは恐らくアグリカルチャーのAだと勝手に解釈していますが違ってたらスミマセン。。


メーカーにより表記の仕方が違いますが、表現が違うだけで同じ材質と思っていて大丈夫かと思います。
厳密に言うとライナーの製造メーカーにより表現が異なるので若干の違いはありますが、一般的には意識しなくてもいい違いかと思われます。
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紙の重量について


グラム表記の方に170とか210と書いてあるのが1㎡当たりの使用g数になります。ライナーを1M四角にカットした重量です。

gが増える=厚みも増える=強度も増える=価格も上がります。



段ボールシートの重さ一覧


以下1M角(1㎡)にカットした段ボールシート概算重量です
各ライナの重量(1㎡重量)
中芯 120g
c5 160g
k5 170g
k6 210g
k7 270g

各段種の中芯段繰率
B/F 1.4倍
A/F 1.6倍
W/F 1.4倍+1.6倍
で計算しました

B/F(3mm)
c5xc5 488g
k5xk5 508g
k6xk6 548g
k7xk7 708g


A/F(5mm)

c5xc5 512g
k5xk5 532g
k6xk6 572g
k7xk7 732g


W/F(8mm)
c5xc5 800g
k5xk5 820g
k6xk6 860g
k7xk7 1020g

上記は各段ボールの段種別 材質別の1M角にカットしたときの概算重量です。(机上計算)

ダンボール重量計算の仕方
例)B/F c5xc5の場合

①表c5 160g

②裏c5 160g

③中芯 120gx1.4倍=168g

①+②+③=488gが、B/F c5xc5を1M角でカットした時の概算重量となります。



手元にある段ボールの重量を計算で出したい場合は

ダンボールを平たく置いて、面積を大体でいいのでタテヨコ測ります。(メートル換算してください)

例えば、3mm厚段ボールの縦80cm 横30cmだとすると
0.8x0.3=0.24㎡

①表c5 160gx0.24=38.4g

②裏c5 160gx0.24=38.4g

③中芯 120gx1.4倍=168gx0.24=40.3g
①+②+③=117.1g

大体120gくらいの重量になります。




最近では、同じ規格でも紙厚が薄くなってきました。 中芯は120gから115gへの移行が進んでいます。
同じk5でも、g数の幅があるためすべて同じではありません。
またこれは原紙メーカによっても使用g数違うため、最近では現物の段ボール製品から使用材質を調べるのも昔と比べて難しくなってきました。
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段ボールシートに使う糊の量


段ボールシートのなみなみ頂点に糊が直線状に付いています、こちらの重量はメーカーによりますが1㎡あたり約7gくらい使用しております。
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段繰り率について


段繰り率とは、表ライナーなどの真っ直ぐな紙の使用率に対する、中芯の使用率のことです。
段ボールは、中芯がくねくねしている為、同じ1㎡でも中芯は余分に使います。
段の高さが上がれば、掛け率も増えます。
段ボールシートメーカーにより数値は若干前後しますが、一般的に以下の数値になります。

W/F 1.4倍(B段側)+1.6倍(A段側)
A/F 1.6倍
B/F 1.4倍
E/F 1.35倍


上記W/F(横から見たときに段が2段ある段ボール)は、別名AB段とも言われる通りB段とA段を合わせた段ボールになりますので、使用中芯もそれぞれ足したものになります。
下の写真の上段部分高さ3mmが、B段側で、下段部分のナミナミ5mmがA段側になります。
ダンボールシート W/F Wフルート ダブルフルートの断面
▲ 目次にもどる




最後までお読みいただきありがとうございます。
普段あまり気にしない、段ボールの材質についての雑学でした。
ちなみに農業用段ボールでは、強度面でc5規格を使うことは少なくk5 k6 k7を使用する事が多いです。



ダンボールの構造と材質による強度変化などの説明でした。
ダンボールは単純なようで、色々難しい部分もあります。
何かご不明点ありましたら
コメント欄にご記載ください。




2017 10 31追記
ダンボールの設計ノウハウについての記事を書きました。
寸法設計について興味のある方は下記からどうぞ

ダンボール設計講座 第1回 ~ダンボールの厚みと内寸・外のり寸法について~


皆様のご参考になれば幸いです。


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