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段ボール箱を畑でマルチとして利用したとき、環境へ与える影響について解説

「草を出さない為に畑にダンボールを敷きたいのですが、ダンボールが溶けて接着剤やインクが人体に影響しないかどうかを教えて下さい」

というお問い合わせをいただきました
このご質問に関して分かる範囲で解説させていただきます。

結論から申し上げますと、通常使用の範囲内では問題ないと考えます。
以下に理由を記載していきます。














化学物質規制の基準値について



何をもって安全とするかという基準について
代表的な化学物質の規制である「RoHS指令」 「REACH規制」の基準値を参考にしました。

・電気電子機器の特定有害物質の使用制限について定めた「RoHS指令」
では基本的に化学物質含有量1000ppm(0.1%)以下であることが定められてます
カドミウムのみ100ppm以下(ダンボールにはカドミウム含まれておりません)

・EUにおける化学物質の制限「REACH規則のSVHC」でも0.1%以下であることが定められており

それぞれ重量に対する含有量
0.1%以下
1000ppm以下

であれば安全という基準で考えます。


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ダンボールに含まれる化学物質



大前提としてダンボールシートを構成するものとして99%が「古紙(セルロース)」それにシート同士を接着する「糊」加えて印刷した場合には「インク」も含まれます。

古紙はもともとパルプ(木)ですので自然に優しい物質です。
そこで気になるのは
・糊
・インク
に含まれる化学物質です。

糊について


糊を構成する物として大部分が「トウモロコシでんぷん」 
それに含まれる化学物質として
「苛性ソーダ約700ppm 0.08%」
「ホウ酸約200ppm 0.02%」
含まれております。

インクについて


印刷内容にもよりますがダンボール1M角(約500g-1kg)の重量に対して約2gとしてインク顔料が残るとして
含有比率は0.004%の顔料が含まれています。その顔料の中にわずか微量な化学物質が含まれておりますが、非常に微量だといえますし、「RoHS」「REACH」両方の規制にかかるものはありません。

以上のことから、化学物質が微量であるため安全であると考えることが出来ます。


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土に対する投入量



ダンボール単体でも安全なのですが、それを土に投入した場合でも土の量に対するダンボール量ということでさらに比率が微量となります。

安全と申し上げましたが
インクや糊を直接ドバドバと畑にまけば当然悪い影響は出るように、何世代にもわたって繰り返し分解を繰り返す間にどういった影響がでるかまでは分かりません。 土に対する投入比率の問題になります。

もし心配で有れば、土壌検査を行う必要があります。
一般的にダンボールに含まれる化学物質というのは微量であるということです。

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マルチに向いているのか



家の周りで見る畑のマルチはビニール製の黒色したのを張っていることが多く、ダンボールマルチは余り見たことがありません。 やり方を調べるとダンボール広げた後土で埋めるようですので、余計に気づきにくいのだとおもいます。 
ダンボールシートは雨などで水分が付着すると分解が早いので畑では土に帰る速度は速そうですが、それでも完全分解まで数ヶ月から2年くらいはかかりそうな印象です。

畑の面積にもよるのですが、家庭菜園程度でしたらスーパーやドラッグストアなどでもらう量で足りるかもしれませんが、面積が広い場合におそらく量が足りないと思いますので、ビニール製を選ぶことになりそうです。



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まとめ




ダンボールはほぼ古紙からできておりますが微量な化学物質や顔料が含まれています。
それらを各化学物質規制の含有量と照らし合わせた時に
微量であり基準値以下という観点から、畑でマルチ利用を常識の範囲内で利用した場合では安全性が高い素材であると考えます。

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折長オリチョウ
段ボールダンボール株式会社

岐阜県飛騨市古川町上野567
*何かご質問等ございましたら下記アドレスへご連絡下さい。
Mail:web@oricyo.co.jp

HP:https://oricyo.co.jp/index.html


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