ダンボール原紙値上がりと古紙価格下落の動向について ~2019年 7月~
2021 8 6追記 日経新聞より「段ボール古紙値上がり」
段ボールシート価格が上がりませんようにx2

2021 7 16追記 日経新聞より「貼合用コーンスターチ値上げ」
段ボールシート価格が上がらないで欲しいところです。

2021.5 14追記
日経新聞より「北米産パルプ最高値」

2021.5 7追記
日経新聞より「ダンボール古紙価格が2年ぶり上昇」

2020.10 8追記
日経新聞より「古紙 輸出価格が上昇」

8月の海外相場が上昇も10月は下落で今後も輸出価格下落の見通しのようです
2020.8 27追記
日経新聞より「古紙 国内で下げ止まり」

コロナの影響で、以前から積み上がっていた古紙在庫が解消されたとの事です。
この状況下、段ボール価格が下がるのは回避されそうです。
仕入材料価格は過去最高の中、加工賃が年々下がっている状況が全国的に改善されていない気がしてなりません。
2020.5.20追記
日経新聞より古紙価格上昇記事の抜粋

全く実感がありませんが古紙価格(おそらく国際価格かと思います)が上昇しました。
2020.4.13追記
日経新聞より古紙下落記事の抜粋

日経新聞の古紙下落記事について私も同じ状況を実感しておりますが、このところダンボール製品の需要減により各社採算度外視で価格を下げて量を確保する動きがあり、ここで原紙価格が下がると業界内は混乱と再編の動きが加速するかもしれません。
2020.3.24追記
古紙相場はさらに下落しております。
先日ダンボール古紙を回収していただいている会社から、ここ半年で3度目の古紙売却価格値下げ要請を受けました。
かろうじて数円ある程度ですが、回収していただけるだけありがたいです。
エンドユーザー様では、古紙回収0円まで下がっているところ(無償回収)や、古紙回収拒否されているところも出始めております。
このまま進むとダンボール古紙引き取りが有料の可能性も出てきます。
ただし、プレス古紙は今のところ買い取り価格は下がっていないようです。(弊社から出る古紙はプレスしておりません)
*2019.8.30追記
中国の「2020年固形廃棄物規制法」の改正案から「2020年末までに」という文言が削除され、古紙輸入禁止が先送りとなりました。
2020 9 1追記
中国への段ボール古紙輸出は2020年11月分までで
12月分以降の輸出ライセンスはなくなります。
新聞古紙のみ来年度以降も輸入が継続されるようです
ここ2年に渡るダンボールの値上げ
その原因と言える古紙価格高騰は「中国」からの爆買いでした。
中国国内のリサイクル率の悪さと、海外輸出により古紙不足となり日本の分別されたダンボール古紙が好まれ輸出された経緯があり、全国的に段ボールシート材料価格は2年(2期)で25%~30%値上がりしています。
しかし
中国経済の失速による古紙のダブつき記事が散見されるようになり、後述しますが日本国内の古紙相場及び海外古紙相場が下落しております。
それによる段ボールシートの価格が下がる気配は今のところなく、業界内でもしばらく下がらないという見通しです。
現状と今後どうなっていくのかについて分かる範囲で記載させていただきます。
7月5日の記事です

↓サムネイル

今年3月7日「段ボール古紙値下がり」日経記事です
↓サムネイル

さらに一ヶ月前の2月13日の記事では「段ボール古紙輸出回避 キリンHD価格安定へ需給改善」の記事も掲載されておりました。
↓サムネイル

最近になり古紙問屋さんから弊社へのダンボール古紙回収価格の引き下げ要請が2ヶ月連続できており、国内古紙価格が下落していることを実感しております。
しかしダンボール仕入れ価格が下がっているかというと、全く下がっていない状況です。
古紙価格相場の推移ですが
2018
国内相場18-25円
海外相場17-20円
2019 6月
国内相場10-13円
海外相場5-7円
と、昨年に比べるとやはり下がっております。
中国国内の古紙価格はと申しますと
40-50円で推移しておったのですが、最近では35円まで下がっているようですが、下がっている理由については分かりません。
ということで
古紙価格については、次項のダンボール状況一覧表をみても分かるとおり、値上げ前の水準まで下がっています。
ただし
*人件費の高騰
*配送費の高騰
については、ここでは触れませんが上がっている実情はあります。これについてはあらゆる業界のコストに影響が出ている部分になります。
もうひとつダンボールシート製造時に必要な「C重油」の相場は常に上下しており、今後の相場についても分かりません。
↓過去6年の段ボール状況についてまとめてみました
*ダンボール生産量は全国段ボール工業組合連合会資料より
*ダンボールシート価格は日経主要相場調べ
*国内古紙価格は古紙再生促進センター調べ
これを見てみると、段ボール生産量は通販向けを主軸に年々増加しており、段ボール価格もそれに伴って上昇し続けております。
子供の頃に、価格決定のメカニズムは「需要と供給のバランスによって決定される」ということを学びました。
先のタイトルで、古紙価格が下がっていることが述べておりますが、段ボールの生産量は年々伸びておるにもかかわらず、段ボールシートの生産量が追いついていないという事情がダンボールシート価格の下げ止まりの要因になっている説明を仕入れ先から受けております。
では、海外からダンボール原紙を輸入すればよいのでは?
実際に国内でも台湾や韓国からダンボール原紙を輸入している段メーカーが現れてきております。
しかし品質は日本の物と比べ落ち、ライナの水分含有量にばらつきがあるため、シート製造時に不良が出やすいという歩留まりの悪さもあり、本格的導入が進んでおりません。
特に表裏ライナでの採用は品質の悪さから採用は低く、使用されても中芯くらいです。
現在の国内ライナとの価格差は1kgあたり3円前後とメリットが薄く、上記と併せて使用されていないのが現状です。
▲ 目次にもどる
中国の古紙輸入先国について
1位:アメリカ
2位:EU
3位:日本
となっております。
関税合戦をやり合っているアメリカが1位になっている理由の一つとしては
ダンボール古紙に含まれる繊維の長さが長いということが上げられます。
紙の強度は繊維が長いほど丈夫になります。
日本の古紙は分別されているのですが、古紙繊維が短いため敬遠気味となってます。
来年2020年に中国では古紙完全輸入禁止が予定されています。
そうなりますと世界中の古紙がダブ付く可能性があり、日本も例外ではありません。
そこで現在東南アジアで古紙ではなく、ダンボールライナ製造工場を稼働し中国へ輸出することを計画している動きもあります。
輸入廃棄物原料環境保護規制基準(GB基準)が厳しくなる中、固形廃棄物規制法で2020年までに古紙を完全輸入禁止というものがありましたが、ここにきて「2020年までに」という文言が削除されまました。
中国のダンボール古紙輸入禁止が先送りになったことで、来年以降も日本から中国への古紙輸出が行われることになります。
来年以降の古紙価格については分からないのですが、現状の古紙価格が上昇する可能性が出てきました。
そうなると、ダンボールライナ価格が下がりにくくなる理由の1つとなってきますので、来年価格が下がるかもしれないと思われていましたが、また分からなくなってきました。
~国内の古紙回収会社の状況と価格優位差の表れについて~
現状国内の古紙もダブ付き気味になっており、それに伴って古紙価格も下がっております。
通常製紙会社が古紙を購入する際の価格は決まっておりますが、古紙回収会社も売れないと困るため通常よりも安く古紙を売る事も出てきました。
そうなると、製紙会社としては安く古紙を仕入れ高く売れるようになります。
そこから原紙を購入している段メーカーは、価格を完全に仕切られており安く購入することが出来ません。
段メーカーで製造した「ダンボールシート」を購入しているボックスメーカーも同様です。
現状としては、元々価格競争力の高い製紙一貫メーカーが、さらに競争力を高めていると言えます。
それに関しましては、第一四半期の各メーカーの決算値が公表されておりましたが、数字で現れています。
日本のダンボール原紙輸出先について(2018年)
最近の日本から海外へは原料の「古紙」ではなく、「ダンボールライナ原紙」として輸出が増えてきました。
「ダンボールライナ」とは、3層構造になる前の1枚の状態をいいます。
中国でも古紙の輸入は規制していますが、ダンボール原紙については規制しておりません。
そのダンボール原紙について
日本からどこの国に向けて輸出されているのか調べてみました。
2018年の国別輸出(単位㌧)
1位:ベトナム 16万5千㌧
2位:マレーシア 15万㌧
3位:中国 6万8千㌧
4位:タイ 5万㌧
5位:フィリピン 3万3千㌧
今年2019年の動きはまだ分かりませんが
2018年の一番多い輸出先はベトナムで、中国向けの2.5倍あります。
ベトナムでのダンボール需要は高く、2020年秋には丸紅がベトナム南部(バリアブンタウ省工業地帯)で抄造巾6600mmのダンボール原紙製造を開始し、22年のフル操業で年間35万㌧を見込んでおります。
この数字は2018年のベトナム向け輸出額の倍になっています。
今後も中国向けではなく、成長著しい東南アジア向けへの輸出もしくは東南アジアでの生産が進むと思われます。
来年2020年の中国古紙完全輸入禁止が実施されると、日本国内の古紙が今よりもダブつくことが予想されますが、ここ数年に限っていえば、中国国内で不足すると思われるダンボール古紙をどうやって調達するのかはよく分かっていません。
古紙完全輸入禁止は先送りされました。
古紙価格については、様々な要因が絡むため今後も下がり続けるのか反発するのかの予測は難しいのですが
①中国の2020年に予定している古紙完全輸入禁止予定(今後変わる可能性有ります)
②中国の国策によるリサイクル率の上昇
の2点を考えても2018年のような高騰状況には戻りづらいと思われます。
国内のライナー生産工場が減少していく中、ダンボールの生産量は年々増え続けております。
ライナー(特に中芯)の需給バランスが今後どうなるのか(H製紙さんで中芯製造始めるようですので助かります)
価格の動向予測は難しいところですが、価格下落の頼みであった中国の古紙輸入完全禁止も180度政策転換され先送りとなり、経済情勢にもよりますが来年以降日本からの古紙輸出も増え、現在かなり下がっている古紙相場も上がる可能性が出てきており、日本国内のダンボールライナ価格も下がりづらい状況になりそうです。
個人的には来年度値下げの発表があるのかと期待しておりましたが、元々低い可能性がさらに下がりダンボール価格はしばらく現状維持されそうな状況で、全国のダンボール専業及び弊社含めたボックスメーカーは厳しい状況が続きそうです。
(中国の政策転換により現在業績が良い製紙会社の株価が上がっているのではないかと思ったのですが、下がっておりました。 株は難しいですね。)
古紙相場に関しては、来年度以降も相変わらず中国の政策に振り回されそうです。
▲ 目次にもどる
段ボールシート価格が上がりませんようにx2

2021 7 16追記 日経新聞より「貼合用コーンスターチ値上げ」
段ボールシート価格が上がらないで欲しいところです。

2021.5 14追記
日経新聞より「北米産パルプ最高値」

2021.5 7追記
日経新聞より「ダンボール古紙価格が2年ぶり上昇」

2020.10 8追記
日経新聞より「古紙 輸出価格が上昇」

8月の海外相場が上昇も10月は下落で今後も輸出価格下落の見通しのようです
2020.8 27追記
日経新聞より「古紙 国内で下げ止まり」

コロナの影響で、以前から積み上がっていた古紙在庫が解消されたとの事です。
この状況下、段ボール価格が下がるのは回避されそうです。
仕入材料価格は過去最高の中、加工賃が年々下がっている状況が全国的に改善されていない気がしてなりません。
2020.5.20追記
日経新聞より古紙価格上昇記事の抜粋

全く実感がありませんが古紙価格(おそらく国際価格かと思います)が上昇しました。
2020.4.13追記
日経新聞より古紙下落記事の抜粋

日経新聞の古紙下落記事について私も同じ状況を実感しておりますが、このところダンボール製品の需要減により各社採算度外視で価格を下げて量を確保する動きがあり、ここで原紙価格が下がると業界内は混乱と再編の動きが加速するかもしれません。
2020.3.24追記
古紙相場はさらに下落しております。
先日ダンボール古紙を回収していただいている会社から、ここ半年で3度目の古紙売却価格値下げ要請を受けました。
かろうじて数円ある程度ですが、回収していただけるだけありがたいです。
エンドユーザー様では、古紙回収0円まで下がっているところ(無償回収)や、古紙回収拒否されているところも出始めております。
このまま進むとダンボール古紙引き取りが有料の可能性も出てきます。
ただし、プレス古紙は今のところ買い取り価格は下がっていないようです。(弊社から出る古紙はプレスしておりません)
中国の「2020年固形廃棄物規制法」の改正案から「2020年末までに」という文言が削除され、古紙輸入禁止が先送りとなりました。
2020 9 1追記
中国への段ボール古紙輸出は2020年11月分までで
12月分以降の輸出ライセンスはなくなります。
新聞古紙のみ来年度以降も輸入が継続されるようです
ここ2年に渡るダンボールの値上げ
その原因と言える古紙価格高騰は「中国」からの爆買いでした。
中国国内のリサイクル率の悪さと、海外輸出により古紙不足となり日本の分別されたダンボール古紙が好まれ輸出された経緯があり、全国的に段ボールシート材料価格は2年(2期)で25%~30%値上がりしています。
しかし
中国経済の失速による古紙のダブつき記事が散見されるようになり、後述しますが日本国内の古紙相場及び海外古紙相場が下落しております。
それによる段ボールシートの価格が下がる気配は今のところなく、業界内でもしばらく下がらないという見通しです。
現状と今後どうなっていくのかについて分かる範囲で記載させていただきます。
■目次
■日本国内古紙状況推移について
7月5日の記事です

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今年3月7日「段ボール古紙値下がり」日経記事です
↓サムネイル

さらに一ヶ月前の2月13日の記事では「段ボール古紙輸出回避 キリンHD価格安定へ需給改善」の記事も掲載されておりました。
↓サムネイル

最近になり古紙問屋さんから弊社へのダンボール古紙回収価格の引き下げ要請が2ヶ月連続できており、国内古紙価格が下落していることを実感しております。
しかしダンボール仕入れ価格が下がっているかというと、全く下がっていない状況です。
古紙価格相場の推移ですが
2018
国内相場18-25円
海外相場17-20円
2019 6月
国内相場10-13円
海外相場5-7円
と、昨年に比べるとやはり下がっております。
中国国内の古紙価格はと申しますと
40-50円で推移しておったのですが、最近では35円まで下がっているようですが、下がっている理由については分かりません。
ということで
古紙価格については、次項のダンボール状況一覧表をみても分かるとおり、値上げ前の水準まで下がっています。
ただし
*人件費の高騰
*配送費の高騰
については、ここでは触れませんが上がっている実情はあります。これについてはあらゆる業界のコストに影響が出ている部分になります。
もうひとつダンボールシート製造時に必要な「C重油」の相場は常に上下しており、今後の相場についても分かりません。
■日本国内ダンボールの推移について
↓過去6年の段ボール状況についてまとめてみました
年度 | ダンボール生産量 | C5価格/㎡ | Kライナ価格/kg | 国内古紙価格/kg | - |
2013年 | 134億5千㎡ | 50~51円 | 74~76円 | 13~15円 | - |
2014年 | 136億3千㎡ | 49~50円 | 71~72円 | 15円 | - |
2015年 | 137億3千㎡ | 49~50円 | 71~73円 | 15円 | - |
2016年 | 139億7千㎡ | 47~48円 | 71~73円 | 15円 | - |
2017年 | 142億㎡ | 47~48円 | 71~83円 | 18円~ | - |
2018年 | 143億9千㎡ | 54~55円 | 81~91円 | 18円~ | - |
2019年1月 | - | 61~62円 | 89~91円 | 18円~ | - |
2019年6月 | - | 61~62円 | 円 | 円 | - |
*ダンボール生産量は全国段ボール工業組合連合会資料より
*ダンボールシート価格は日経主要相場調べ
*国内古紙価格は古紙再生促進センター調べ
これを見てみると、段ボール生産量は通販向けを主軸に年々増加しており、段ボール価格もそれに伴って上昇し続けております。
子供の頃に、価格決定のメカニズムは「需要と供給のバランスによって決定される」ということを学びました。
先のタイトルで、古紙価格が下がっていることが述べておりますが、段ボールの生産量は年々伸びておるにもかかわらず、段ボールシートの生産量が追いついていないという事情がダンボールシート価格の下げ止まりの要因になっている説明を仕入れ先から受けております。
では、海外からダンボール原紙を輸入すればよいのでは?
実際に国内でも台湾や韓国からダンボール原紙を輸入している段メーカーが現れてきております。
しかし品質は日本の物と比べ落ち、ライナの水分含有量にばらつきがあるため、シート製造時に不良が出やすいという歩留まりの悪さもあり、本格的導入が進んでおりません。
特に表裏ライナでの採用は品質の悪さから採用は低く、使用されても中芯くらいです。
現在の国内ライナとの価格差は1kgあたり3円前後とメリットが薄く、上記と併せて使用されていないのが現状です。
▲ 目次にもどる
■中国古紙事情と日本国内の今後について私見
中国の古紙輸入先国について
1位:アメリカ
2位:EU
3位:日本
となっております。
関税合戦をやり合っているアメリカが1位になっている理由の一つとしては
ダンボール古紙に含まれる繊維の長さが長いということが上げられます。
紙の強度は繊維が長いほど丈夫になります。
日本の古紙は分別されているのですが、古紙繊維が短いため敬遠気味となってます。
■~中国の古紙完全輸入禁止の先送り~
そうなりますと世界中の古紙がダブ付く可能性があり、日本も例外ではありません。
そこで現在東南アジアで古紙ではなく、ダンボールライナ製造工場を稼働し中国へ輸出することを計画している動きもあります。
輸入廃棄物原料環境保護規制基準(GB基準)が厳しくなる中、固形廃棄物規制法で2020年までに古紙を完全輸入禁止というものがありましたが、ここにきて「2020年までに」という文言が削除されまました。
中国のダンボール古紙輸入禁止が先送りになったことで、来年以降も日本から中国への古紙輸出が行われることになります。
来年以降の古紙価格については分からないのですが、現状の古紙価格が上昇する可能性が出てきました。
そうなると、ダンボールライナ価格が下がりにくくなる理由の1つとなってきますので、来年価格が下がるかもしれないと思われていましたが、また分からなくなってきました。
~国内の古紙回収会社の状況と価格優位差の表れについて~
現状国内の古紙もダブ付き気味になっており、それに伴って古紙価格も下がっております。
通常製紙会社が古紙を購入する際の価格は決まっておりますが、古紙回収会社も売れないと困るため通常よりも安く古紙を売る事も出てきました。
そうなると、製紙会社としては安く古紙を仕入れ高く売れるようになります。
そこから原紙を購入している段メーカーは、価格を完全に仕切られており安く購入することが出来ません。
段メーカーで製造した「ダンボールシート」を購入しているボックスメーカーも同様です。
現状としては、元々価格競争力の高い製紙一貫メーカーが、さらに競争力を高めていると言えます。
それに関しましては、第一四半期の各メーカーの決算値が公表されておりましたが、数字で現れています。
日本のダンボール原紙輸出先について(2018年)
最近の日本から海外へは原料の「古紙」ではなく、「ダンボールライナ原紙」として輸出が増えてきました。
「ダンボールライナ」とは、3層構造になる前の1枚の状態をいいます。
中国でも古紙の輸入は規制していますが、ダンボール原紙については規制しておりません。
そのダンボール原紙について
日本からどこの国に向けて輸出されているのか調べてみました。
2018年の国別輸出(単位㌧)
1位:ベトナム 16万5千㌧
2位:マレーシア 15万㌧
3位:中国 6万8千㌧
4位:タイ 5万㌧
5位:フィリピン 3万3千㌧
今年2019年の動きはまだ分かりませんが
2018年の一番多い輸出先はベトナムで、中国向けの2.5倍あります。
ベトナムでのダンボール需要は高く、2020年秋には丸紅がベトナム南部(バリアブンタウ省工業地帯)で抄造巾6600mmのダンボール原紙製造を開始し、22年のフル操業で年間35万㌧を見込んでおります。
この数字は2018年のベトナム向け輸出額の倍になっています。
今後も中国向けではなく、成長著しい東南アジア向けへの輸出もしくは東南アジアでの生産が進むと思われます。
来年2020年の中国古紙完全輸入禁止が実施されると、日本国内の古紙が今よりもダブつくことが予想されますが、ここ数年に限っていえば、中国国内で不足すると思われるダンボール古紙をどうやって調達するのかはよく分かっていません。
古紙完全輸入禁止は先送りされました。
古紙価格については、様々な要因が絡むため今後も下がり続けるのか反発するのかの予測は難しいのですが
①中国の2020年に予定している古紙完全輸入禁止予定(今後変わる可能性有ります)
②中国の国策によるリサイクル率の上昇
の2点を考えても2018年のような高騰状況には戻りづらいと思われます。
国内のライナー生産工場が減少していく中、ダンボールの生産量は年々増え続けております。
ライナー(特に中芯)の需給バランスが今後どうなるのか(H製紙さんで中芯製造始めるようですので助かります)
価格の動向予測は難しいところですが、価格下落の頼みであった中国の古紙輸入完全禁止も180度政策転換され先送りとなり、経済情勢にもよりますが来年以降日本からの古紙輸出も増え、現在かなり下がっている古紙相場も上がる可能性が出てきており、日本国内のダンボールライナ価格も下がりづらい状況になりそうです。
個人的には来年度値下げの発表があるのかと期待しておりましたが、元々低い可能性がさらに下がりダンボール価格はしばらく現状維持されそうな状況で、全国のダンボール専業及び弊社含めたボックスメーカーは厳しい状況が続きそうです。
(中国の政策転換により現在業績が良い製紙会社の株価が上がっているのではないかと思ったのですが、下がっておりました。 株は難しいですね。)
古紙相場に関しては、来年度以降も相変わらず中国の政策に振り回されそうです。
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