ダンボールと紙の違い(原材料編)
以前のブログで紙と段ボールの違いとは?
にてリサイクルマークと見た目を視点にした違いについて解説しました
今回は、紙とダンボールを原材料を視点とした違いについて。
リサイクルの時に、雑誌・新聞・ダンボールを分けて出してくださいと言われます。
同じ紙なのにどうして分けないといけないのー

と思ったことはありませんか?
先に答えを言いますと
ダンボール:パルプの繊維が長い(表面がざらついているが丈夫)
紙:パルプの繊維が短い(表面がきめ細かい)
という違いがあり
この2種類を混ぜると古紙パルプを製造するときにゴミが増えるためです。
下記にも書いておりますが
ダンボール:原材料にクラフトパルプを使用「繊維が長い」(強度が上がる)+ナミナミが間に挟んであること
コピー紙:原材料に機械パルプを使用「繊維が短い」(きめ細かさが上がる) 見た目が1枚の紙であること
と覚えてください。
では
紙の定義についてこの定義の紙とは、ダンボールや雑誌新聞すべてを含みます。
~紙とは~
広葉樹の木繊維及び針葉樹の仮道管をパルプ化し植物繊維を抽出して水中に分散させ、水の媒介で薄く平らに絡み合わせたもの。
と難しいことが書いてありましたので簡単にまとめてみました↓↓
~紙が出来るまで~
木材チップ(木の破片)
↓
パルプ化(木材から繊維をばらばらに取り出す方法が3種類あり下記~パルプの種類~にまとめました)
↓
漂白(色を白くします)
↓
抄紙(リグニンという物質を使い繊維同士をつなげます)
という順番で紙が出来ていきます。
~木材の種類による繊維の長さの違い~
針葉樹パルプ繊維は、長さ3~5 mm
広葉樹パルプ繊維は、長さ1~2 mm
広葉樹は生長が早く低コストで製造でき、針葉樹は生長が遅くコストが上がりやすいという傾向もあります。
*広葉樹パルプ(繊維が短い:繊維がきめ細かいため漂白後「印刷用紙(雑誌・書籍一般印刷物)」など平滑性があるものに使用される。
*針葉樹パルプ(繊維が長い):繊維が長く強度を出せるためダンボール原紙やクラフト紙(クラフト袋含む)など強度が求められるものに使用されます。 新聞紙なんかも針葉樹パルプを使用しております。
又年賀状写真印刷用紙の様に紙表面に化学薬品を塗工してさらに平滑度や光沢を高めたものもあります。
~パルプの種類~
「機械パルプ」
木材チップを機械ですりつぶす方法
潰す際に強度が落ちるため、繊維の長い針葉樹パルプを使用する事が多いです。
漂白が苦手です。
「化学パルプ」
化学的に分解してパルプ化する方法
漂白しやすく繊維も長い「上質紙(コピー用紙など)」に使用されます。
「古紙パルプ」
町内の古紙回収などを経た後、それを原材料として繊維を取り出す方法
新聞・雑誌・ダンボールなど
トイレットペーパーなども多少含まれてます。
ティッシュペーパーは100%バージンパルプ使用です。 柔らかいですよね
では
実際にコピー用紙とダンボールを拡大して比較してみます。
コピー用紙(12倍拡大)

←クリックで拡大します
ダンボール(12倍拡大)

←クリックで拡大します
もう少し拡大しないと分かりづらいのですが、ダンボールの方には何かゴミや筋みたいなのが見えます。
それに対してコピー用紙は、あまり有りません
ダンボール:原材料にクラフトパルプを使用「繊維が長い」(強度が上がる)
コピー紙:原材料に機械パルプを使用「繊維が短い」(きめ細かさが上がる)
繊維の長さが影響すること
*長くなると強度が上がる
*短いと紙のきめ細かさが上がる
という違いがあります。
お店で売っているティッシュなどは100%パルプできめ細かいものが使われておりますが
たまに公園のトイレでガサガサしたトイレットペーパーを見かけたことはないでしょうか
あの痔になりそうな紙は繊維が長い紙を古紙パルプとして使ってるかと思います。
~シュレッダー古紙が回収断られる件~
シュレッダーの機械にもいろいろな断裁方法があり、かなり細かく断裁できる機械もあります。大体巾1mmくらいにはカットしてるかと思います。その際にパルプ繊維も細かく断裁されるため製紙原料としては歩留まりが悪くなり利用しづらくなります。
シュレッダー古紙を再生するには、1cmx5cm以上の大きさが推奨されておりますが、この大きさだとシュレッダーの意味をなさないのと、そもそもこの大きさでカットするシュレッダーが無いのが現状です。
以上のことがあり、古紙回収ではシュレッダーしたものは基本的に断られるのです。
あと
~リサイクル時の買い取り価格の違いについて~
こちらは今年11月2日 日経ウイークリーの買い取り価格相場ですが

安い順に
新聞紙
↓
雑誌
↓
ダンボール
となっています。
ただし、このダンボールの買い取り価格は古紙を圧縮プレスした100%のものが適用されますので、通常の持ち込みダンボールだとここから5円程下がるようです。
番外:ダンボール集めて儲けようコーナー!
高騰しているダンボールを集めて古紙回収業者に買い取りしてもらえばと考えたくなります。
1キロ東京相場で12円 バラバラの持ち込みで7円くらいかと思いますので
A/F c5xc5が1㎡で500gくらいです。 箱で100サイズ~120サイズ1枚の重量です。
ということは、2箱あつめて7円くらい貰える計算なので120サイズを1500箱くらい集めると1万円くらいになりそうです
大変でした スミマセン
~平成29年ダンボールの値上がりについて~
日本の質が良く綺麗に分別してあるダンボール古紙は中国で人気があり高値で大量の買い注文がはいります。そのため日本の古紙価格が高騰する状態が続きました。 10月頃輸入規制もありましたが中国国内の古紙が圧倒的不足に陥り、現在ではそれも解禁されつつあります。
原因としてよく上げられるのが、インターネット市場の伸びでその中でも中国通販最大手のアリババでセールが毎年11月にあり1日に10億箱ダンボールが流通するそうです。 規模が日本とは違います。
日本だと楽天スーパーセールが有名ですね。 3月 6月 9月 12月にやってることが多いです。
こういった様々な情勢により日本国内のダンボール古紙価格も中国につられて高騰したため全国的なダンボールの大幅な値上がりにつながっています。
日本のダンボール価格は中国の情勢に大きく左右される状況でホント困ります!
輸出は古紙だけでは無く、ダンボール原紙にまで及び、2017年のダンボール原紙輸出量は過去最高の50万トンで来年度も同様の見込みです。
ちなみに、中国の古紙価格は日本の倍の価格で流通しており、現在中国のダンボール製品は日本よりも高くなりました。
H29 11.27追記
ここ2ヶ月の中国向け輸出古紙が少し再開しましたがまだ低調のようです
各古紙のキロ価格は20円 新聞27円 雑誌17円
中国では年間3,000万トン以上の古紙が不足する
H29 12.6追記
本日の日経にてダンボール輸出古紙価格が20円→22.5円に上昇した記事が掲載されてました
中国政府は、公式には古紙の輸入を認めてはいないようですが、認めるようになるとさらに輸入が進み古紙価格上昇の原因となりますので非常に困ります
ということで少し話が逸れましたが
紙とダンボールでは含まれるパルプの種類が違うため
リサイクルにはそれぞれの紙を分けて出しましょうということになってます
混ぜると、古紙パルプにするときに使えないゴミが増える為です。
皆様の参考になれば幸いです。
にてリサイクルマークと見た目を視点にした違いについて解説しました
今回は、紙とダンボールを原材料を視点とした違いについて。
リサイクルの時に、雑誌・新聞・ダンボールを分けて出してくださいと言われます。
同じ紙なのにどうして分けないといけないのー

と思ったことはありませんか?
先に答えを言いますと
ダンボール:パルプの繊維が長い(表面がざらついているが丈夫)
紙:パルプの繊維が短い(表面がきめ細かい)
という違いがあり
この2種類を混ぜると古紙パルプを製造するときにゴミが増えるためです。
下記にも書いておりますが
ダンボール:原材料にクラフトパルプを使用「繊維が長い」(強度が上がる)+ナミナミが間に挟んであること
コピー紙:原材料に機械パルプを使用「繊維が短い」(きめ細かさが上がる) 見た目が1枚の紙であること
と覚えてください。
では
紙の定義についてこの定義の紙とは、ダンボールや雑誌新聞すべてを含みます。
~紙とは~
広葉樹の木繊維及び針葉樹の仮道管をパルプ化し植物繊維を抽出して水中に分散させ、水の媒介で薄く平らに絡み合わせたもの。
と難しいことが書いてありましたので簡単にまとめてみました↓↓
~紙が出来るまで~
木材チップ(木の破片)
↓
パルプ化(木材から繊維をばらばらに取り出す方法が3種類あり下記~パルプの種類~にまとめました)
↓
漂白(色を白くします)
↓
抄紙(リグニンという物質を使い繊維同士をつなげます)
という順番で紙が出来ていきます。
~木材の種類による繊維の長さの違い~
針葉樹パルプ繊維は、長さ3~5 mm
広葉樹パルプ繊維は、長さ1~2 mm
広葉樹は生長が早く低コストで製造でき、針葉樹は生長が遅くコストが上がりやすいという傾向もあります。
*広葉樹パルプ(繊維が短い:繊維がきめ細かいため漂白後「印刷用紙(雑誌・書籍一般印刷物)」など平滑性があるものに使用される。
*針葉樹パルプ(繊維が長い):繊維が長く強度を出せるためダンボール原紙やクラフト紙(クラフト袋含む)など強度が求められるものに使用されます。 新聞紙なんかも針葉樹パルプを使用しております。
又年賀状写真印刷用紙の様に紙表面に化学薬品を塗工してさらに平滑度や光沢を高めたものもあります。
~パルプの種類~
「機械パルプ」
木材チップを機械ですりつぶす方法
潰す際に強度が落ちるため、繊維の長い針葉樹パルプを使用する事が多いです。
漂白が苦手です。
「化学パルプ」
化学的に分解してパルプ化する方法
漂白しやすく繊維も長い「上質紙(コピー用紙など)」に使用されます。
「古紙パルプ」
町内の古紙回収などを経た後、それを原材料として繊維を取り出す方法
新聞・雑誌・ダンボールなど
トイレットペーパーなども多少含まれてます。
ティッシュペーパーは100%バージンパルプ使用です。 柔らかいですよね
では
実際にコピー用紙とダンボールを拡大して比較してみます。
コピー用紙(12倍拡大)
ダンボール(12倍拡大)
もう少し拡大しないと分かりづらいのですが、ダンボールの方には何かゴミや筋みたいなのが見えます。
それに対してコピー用紙は、あまり有りません
ダンボール:原材料にクラフトパルプを使用「繊維が長い」(強度が上がる)
コピー紙:原材料に機械パルプを使用「繊維が短い」(きめ細かさが上がる)
繊維の長さが影響すること
*長くなると強度が上がる
*短いと紙のきめ細かさが上がる
という違いがあります。
お店で売っているティッシュなどは100%パルプできめ細かいものが使われておりますが
たまに公園のトイレでガサガサしたトイレットペーパーを見かけたことはないでしょうか
あの痔になりそうな紙は繊維が長い紙を古紙パルプとして使ってるかと思います。
~シュレッダー古紙が回収断られる件~
シュレッダーの機械にもいろいろな断裁方法があり、かなり細かく断裁できる機械もあります。大体巾1mmくらいにはカットしてるかと思います。その際にパルプ繊維も細かく断裁されるため製紙原料としては歩留まりが悪くなり利用しづらくなります。
シュレッダー古紙を再生するには、1cmx5cm以上の大きさが推奨されておりますが、この大きさだとシュレッダーの意味をなさないのと、そもそもこの大きさでカットするシュレッダーが無いのが現状です。
以上のことがあり、古紙回収ではシュレッダーしたものは基本的に断られるのです。
あと
~リサイクル時の買い取り価格の違いについて~
こちらは今年11月2日 日経ウイークリーの買い取り価格相場ですが

安い順に
新聞紙
↓
雑誌
↓
ダンボール
となっています。
ただし、このダンボールの買い取り価格は古紙を圧縮プレスした100%のものが適用されますので、通常の持ち込みダンボールだとここから5円程下がるようです。
番外:ダンボール集めて儲けようコーナー!
高騰しているダンボールを集めて古紙回収業者に買い取りしてもらえばと考えたくなります。
1キロ東京相場で12円 バラバラの持ち込みで7円くらいかと思いますので
A/F c5xc5が1㎡で500gくらいです。 箱で100サイズ~120サイズ1枚の重量です。
ということは、2箱あつめて7円くらい貰える計算なので120サイズを1500箱くらい集めると1万円くらいになりそうです
大変でした スミマセン
~平成29年ダンボールの値上がりについて~
日本の質が良く綺麗に分別してあるダンボール古紙は中国で人気があり高値で大量の買い注文がはいります。そのため日本の古紙価格が高騰する状態が続きました。 10月頃輸入規制もありましたが中国国内の古紙が圧倒的不足に陥り、現在ではそれも解禁されつつあります。
原因としてよく上げられるのが、インターネット市場の伸びでその中でも中国通販最大手のアリババでセールが毎年11月にあり1日に10億箱ダンボールが流通するそうです。 規模が日本とは違います。
日本だと楽天スーパーセールが有名ですね。 3月 6月 9月 12月にやってることが多いです。
こういった様々な情勢により日本国内のダンボール古紙価格も中国につられて高騰したため全国的なダンボールの大幅な値上がりにつながっています。
日本のダンボール価格は中国の情勢に大きく左右される状況でホント困ります!
輸出は古紙だけでは無く、ダンボール原紙にまで及び、2017年のダンボール原紙輸出量は過去最高の50万トンで来年度も同様の見込みです。
ちなみに、中国の古紙価格は日本の倍の価格で流通しており、現在中国のダンボール製品は日本よりも高くなりました。
H29 11.27追記
ここ2ヶ月の中国向け輸出古紙が少し再開しましたがまだ低調のようです
各古紙のキロ価格は20円 新聞27円 雑誌17円
中国では年間3,000万トン以上の古紙が不足する
H29 12.6追記
本日の日経にてダンボール輸出古紙価格が20円→22.5円に上昇した記事が掲載されてました
中国政府は、公式には古紙の輸入を認めてはいないようですが、認めるようになるとさらに輸入が進み古紙価格上昇の原因となりますので非常に困ります
ということで少し話が逸れましたが
紙とダンボールでは含まれるパルプの種類が違うため
リサイクルにはそれぞれの紙を分けて出しましょうということになってます
混ぜると、古紙パルプにするときに使えないゴミが増える為です。
皆様の参考になれば幸いです。
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