季節の違いとダンボール箱圧縮強さの関係について (温度・湿度・含水率における箱圧縮強度の変化)
~H27 12月 罫線割れ(ケイ割れ)について加筆しました~
いつも使っている段ボール箱の強度が、季節によって堅かったり柔らかく感じることはありませんか?
では季節による気温・湿度の違いが段ボール箱強度にどれくらい影響を与えているのでしょうか
段ボールの水分量と箱強度の関係について
元々段ボール原紙の含水率は約9%で、コルゲーターと呼ばれる機械で熱を加えて、段ボールシートに加工します。 その熱を加える過程で水分が飛ばされ仕上がり時には約7%前後(製造メーカーにより誤差あり)になっています。
出来立てホヤホヤの段ボールシートは白い湯気が立っています。
この加湿状態が強度的にも、この後の製造工程的にもベストな数値ですが、なかなかそういうわけにもいきません。
一般的に
含水率が1%増えると、圧縮強度(つぶれ強度)は10%下がります。
↓ダンボールシートに含まれる水分量と圧縮強度の関係です。
含水率 圧縮強度(%)
7%-110%
8%-100%
9%-90%
10%-80%
11%-75%
12%-65%
13%-60%
14%-55%
15%-48%
といった具合に、紙の水分量が増えると共に、強度値が下がっていきます。
じゃあ、水分量を6% 5%と減らせばよいのでは?
となるのですが、そうなると乾燥によりダンボールシートの罫線部分(折れ線)のライナーが割れてくる現象が起こりやすくなります。 これを業界ではケイ割れと呼びます
実際に冬のシート含水率は5%~8%まで下がってきますので、ケイ割れ不良が多発する時期になります。
↓ケイ割れしている段ボールケース

↓同じ個所を裏から見たところ
裏ライナーと中芯で繋がっている状態 今回裏は割れていませんが裏だけ割れることもあれば裏表両方割れることもあります。

冬の乾燥時期になると、こういった割れが多発します。
これを防ぐには
①工場内の湿度を一定湿度に保つ
②シートがコルゲーターから出てきて湯気が出ている状態で、製品に加工する。
③罫線部分の圧を下げる(折り曲げ線を弱く入れる)
が挙げられます。
①(エアラキ等での加湿)ドライフォグによる加湿を行うと効果的です。
弊社工場では地下水を使用しており、こういったドライフォグの機器使用は難しいとのことでした。 工場によっては、こういった設備を入れている所があります。
②段ボールシートメーカーでは出来立てシートでの後加工が可能ですが、弊社ではシートが出来た翌日に仕入れされる為、どうしても乾燥した状態で入荷されます。
③糊を貼った状態では問題ないですが、箱の折れ精度が下がるため、実際の使用現場で箱組み時に思わぬところで筋が曲がり、箱にした時の仕上がり精度に大きな影響を与えます。
という所で、冬の時期 ケイ割れについては全国の段ボール屋さんの悩みです。
1年通してシートの含水率7%前後が理想なのですが どうしても季節による温度及び湿度変化には逆らえません。
気温・湿度と段ボールシート含水率の関係

湿度と気温の変化による段ボールシートの水分量変化の表を作ってみました。
分かりやすくするため、地域により気温の違いはありますが季節を貼りつけてます。
ここで見ていただきたいのは、冬季5%~8%の含水率に対して、夏季は14%近くまで含水率が上昇し、それに伴い圧縮強度も半分近くまで落ちてしまいます。
いかに、湿度がダンボール箱の圧縮強度に与える影響が大きいかわかると思います。
春や秋は、比較的安定している時期です。
冬は、乾燥による段ボールシートの割れ不良が出ます。
夏は、高温多湿による強度低下が出ます。
こういった具合で、季節によって同じ材質を使用しているにもかかわらず、品質にばらつきが出てきてしまいます。
今まで特に強度変化を実感したのは、畑にある小屋に段ボール箱を積んでいる場合です。
春や秋は良いのですが、湿度の上がり始める梅雨~夏にかけて、強度がかなり下がります。
お客様から、段ボール箱が弱いから見に来てくれと言われ、訪問すると同じ箱とは思えないくらい、紙がヨレヨレになっていることがよくありました。 会社の倉庫などでは、ここまで変化を感じなかったです。
畑に水を撒いたりするので、湿度が上がりやすいのでしょうか
圧縮試験でJISの標準状態が
「温度23℃湿度50%」です。
圧縮試験の際には、この状態の部屋に一定時間おいてから試験することが多いです。
これは強度が出る条件と言うより一般的な環境に近い条件になると思います。
では
圧縮強度が最高に出る状態というのはどういった状態なのでしょうか?
研究論文等が見つけられなかったので具体的な最適な温度湿度は分かりません。
一般的に夏より冬の方が同じ材質でも圧縮強度が出ます。
紙の含水率が下がれば圧縮強度が上がるため湿度は低いに超したことはありません。
すでに箱の状態でしたら折り曲げた際に罫線が割れる心配も少ないと思われますので、調湿する際はコストとの兼ね合いがありますが、限りなく湿度を下げることが箱強度を上げる事につながるのではないかと思います。
特に
高温多湿状態での保管は箱の積圧強度が下がりますので、ご注意ください。
皆様のご参考になれば幸いです
HP:http://oricyo.co.jp/index.html
いつも使っている段ボール箱の強度が、季節によって堅かったり柔らかく感じることはありませんか?
では季節による気温・湿度の違いが段ボール箱強度にどれくらい影響を与えているのでしょうか
段ボールの水分量と箱強度の関係について
元々段ボール原紙の含水率は約9%で、コルゲーターと呼ばれる機械で熱を加えて、段ボールシートに加工します。 その熱を加える過程で水分が飛ばされ仕上がり時には約7%前後(製造メーカーにより誤差あり)になっています。
出来立てホヤホヤの段ボールシートは白い湯気が立っています。
この加湿状態が強度的にも、この後の製造工程的にもベストな数値ですが、なかなかそういうわけにもいきません。
一般的に
含水率が1%増えると、圧縮強度(つぶれ強度)は10%下がります。
↓ダンボールシートに含まれる水分量と圧縮強度の関係です。
含水率 圧縮強度(%)
7%-110%
8%-100%
9%-90%
10%-80%
11%-75%
12%-65%
13%-60%
14%-55%
15%-48%
といった具合に、紙の水分量が増えると共に、強度値が下がっていきます。
じゃあ、水分量を6% 5%と減らせばよいのでは?
となるのですが、そうなると乾燥によりダンボールシートの罫線部分(折れ線)のライナーが割れてくる現象が起こりやすくなります。 これを業界ではケイ割れと呼びます
実際に冬のシート含水率は5%~8%まで下がってきますので、ケイ割れ不良が多発する時期になります。
↓ケイ割れしている段ボールケース
↓同じ個所を裏から見たところ
裏ライナーと中芯で繋がっている状態 今回裏は割れていませんが裏だけ割れることもあれば裏表両方割れることもあります。
冬の乾燥時期になると、こういった割れが多発します。
これを防ぐには
①工場内の湿度を一定湿度に保つ
②シートがコルゲーターから出てきて湯気が出ている状態で、製品に加工する。
③罫線部分の圧を下げる(折り曲げ線を弱く入れる)
が挙げられます。
①(エアラキ等での加湿)ドライフォグによる加湿を行うと効果的です。
弊社工場では地下水を使用しており、こういったドライフォグの機器使用は難しいとのことでした。 工場によっては、こういった設備を入れている所があります。
②段ボールシートメーカーでは出来立てシートでの後加工が可能ですが、弊社ではシートが出来た翌日に仕入れされる為、どうしても乾燥した状態で入荷されます。
③糊を貼った状態では問題ないですが、箱の折れ精度が下がるため、実際の使用現場で箱組み時に思わぬところで筋が曲がり、箱にした時の仕上がり精度に大きな影響を与えます。
という所で、冬の時期 ケイ割れについては全国の段ボール屋さんの悩みです。
1年通してシートの含水率7%前後が理想なのですが どうしても季節による温度及び湿度変化には逆らえません。
気温・湿度と段ボールシート含水率の関係

湿度と気温の変化による段ボールシートの水分量変化の表を作ってみました。
分かりやすくするため、地域により気温の違いはありますが季節を貼りつけてます。
ここで見ていただきたいのは、冬季5%~8%の含水率に対して、夏季は14%近くまで含水率が上昇し、それに伴い圧縮強度も半分近くまで落ちてしまいます。
いかに、湿度がダンボール箱の圧縮強度に与える影響が大きいかわかると思います。
春や秋は、比較的安定している時期です。
冬は、乾燥による段ボールシートの割れ不良が出ます。
夏は、高温多湿による強度低下が出ます。
こういった具合で、季節によって同じ材質を使用しているにもかかわらず、品質にばらつきが出てきてしまいます。
今まで特に強度変化を実感したのは、畑にある小屋に段ボール箱を積んでいる場合です。
春や秋は良いのですが、湿度の上がり始める梅雨~夏にかけて、強度がかなり下がります。
お客様から、段ボール箱が弱いから見に来てくれと言われ、訪問すると同じ箱とは思えないくらい、紙がヨレヨレになっていることがよくありました。 会社の倉庫などでは、ここまで変化を感じなかったです。
畑に水を撒いたりするので、湿度が上がりやすいのでしょうか
圧縮試験でJISの標準状態が
「温度23℃湿度50%」です。
圧縮試験の際には、この状態の部屋に一定時間おいてから試験することが多いです。
これは強度が出る条件と言うより一般的な環境に近い条件になると思います。
では
圧縮強度が最高に出る状態というのはどういった状態なのでしょうか?
研究論文等が見つけられなかったので具体的な最適な温度湿度は分かりません。
一般的に夏より冬の方が同じ材質でも圧縮強度が出ます。
紙の含水率が下がれば圧縮強度が上がるため湿度は低いに超したことはありません。
すでに箱の状態でしたら折り曲げた際に罫線が割れる心配も少ないと思われますので、調湿する際はコストとの兼ね合いがありますが、限りなく湿度を下げることが箱強度を上げる事につながるのではないかと思います。
特に
高温多湿状態での保管は箱の積圧強度が下がりますので、ご注意ください。
皆様のご参考になれば幸いです
折長
段ボール株式会社
岐阜県飛騨市古川町上野567
*何かご質問等ございましたら弊社までご連絡下さい。
Mail:web@oricyo.co.jp
HP:http://oricyo.co.jp/index.html
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